エアコンの冷房と除湿(ドライ)の違いとは??

エアコンをつけると部屋が涼しくなるのはなぜ?

エアコンは、部屋を涼しくしてくれますが、そのしくみはどうなっているのでしょうか。
ひとことで言うと部屋の中の熱を部屋の外に追い出すことで涼しくしています。
エアコンは、室内機と室外機の2つが必ずセットになっています。
そしてこの2つをつなぐパイプの中には「冷媒」という物質が流れています。
そもそも熱は多いところから少ないところへ移動するという性質があります。
この性質を利用し「熱交換器」という部品を使って室内機の熱交換器で部屋の中の熱を乗せ、
室外機の熱交換器で熱をおろすということをくりかえすことで、どんどん部屋を涼しくしています。
例えば氷に触るとひんやりして手が冷たくなります。これは手のひらから氷へ熱が移動したからです。
同じように、冷媒は室内機を通るとき氷のように冷たくなっているので、室内機の熱交換器では熱い空気から冷たい冷媒に熱が移動します。
逆に室外機に移動した冷媒は圧力をかけられて部屋の外の空気よりもっと熱くなるので、冷媒から部屋の外に熱が移動するのです。

室外機に移動した「冷媒」を循環させているのが“エアコンの心臓” と言われる「圧縮機(コンプレッサー)」です。
この圧縮機は、エアコンの消費電力の大部分を占める部品です。
その割合は、なんと80%!
エアコンのほとんどの電力は圧縮機が使っています。 

 

冷房と除湿(ドライ)の違いとは??

エアコンの「冷房」と「除湿(ドライ)」は、どちらも室内の空気を冷やし、
空気中の水分を結露で水にして室外に放出する仕組みは同じですが、温度と湿度のどちらを優先させるかが異なります。
 
「冷房」は室内の暑い空気を外に出して、室内の空気の温度を下げる機能です。
「除湿(ドライ)」は室内の空気中にある水分を外に出して、室内の空気の湿度を下げる機能です
 
「冷房」と「除湿(ドライ)」は、快適さを優先するか、電気代を優先するかで使い分けることもできます。
たとえば、寝苦しい夜には「除湿(ドライ)」運転モードで湿度を下げ、寝汗を乾かすとともに、
室温を28度に設定することで体温を冷やしすぎを防ぐことができます。
また、梅雨時期などに部屋干しする際は、湿度を下げてくれる「除湿(ドライ)」機能を使うと効果的です。
 
「除湿(ドライ)」機能には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があります。
「弱冷房除湿」は室内の湿度も温度も下げたい場合に、
「再熱除湿」は室内の湿度のみを下げたい場合に使い分けます。
「弱冷房除湿」は冷気のまま送るため、室温は少し下がるのが特徴です。
一方、「再熱除湿」は湿度を下げるために冷やされた空気を再度暖めてから室内へ戻すため、部屋の温度を下げません。
 

冷房と除湿で電気代に違いはあるの?

冷房と除湿の電気代は、除湿方法によって異なります
冷房は部屋の温度を下げる機能、除湿は湿度を下げる機能ですが、冷房と除湿の消費電力に大きな差はありません。
ただし、除湿運転では冷えた空気を暖めてから室内に戻すため、冷房よりも電気代が高くなる場合があります。 
除湿運転には、弱冷房除湿と再熱除湿の2種類があります。
弱冷房除湿は部屋を冷やしながら除湿するため、冷房運転よりも電気代が安くなります。
一方、再熱除湿は冷やした空気をエアコン内部で温め直してから送風するため、冷房運転よりも電気代が高くなります。
 また、湿度を設定できる機能を持ったエアコンを使う場合は、湿度が50%以上ある場合は除湿を使い、気温が30℃を超えるなど、
除湿では部屋を冷やしきれない場合は冷房を使うのもよいでしょう。
 冷房と除湿のどちらを使う場合でも、設定温度を高くしたほうが節電になります。
 

【検証1】
エアコン冷房の風量設定は「弱」と「自動」でどちらが節電?

 

エアコン冷房の風量設定「弱」と「自動」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなし
にして消費電力量を計測し、1ヵ月あたりの電気料金の違いを実験してみました。
 
 

【結果】「風量:自動」の方が節電に!

 
 

エアコン冷房の風量「弱」と風量「自動」の消費電力量を比較した結果、風量「弱」が3.85kWh、

「自動」が2.79kWhとなり、風量「自動」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になりました。
1か月換算では、風量「自動」は「弱」と比べて電気代が約990円の差になります。
吹出口からの気流が弱い風量「弱」の方が節電につながりそうに思えますが、
今回の実験では、風量「自動」の方が節電につながる結果となりました。
 
 
 

 

エアコンの風量設定
消費電力量
(8:00~19:00)
1日の電気代
(8:00~19:00)
電気代1カ月換算
(30日分)
風量:弱
3.85kWh
約119円
約3,570円
風量:自動
2.79kWh
約86円
約2,580円

 

電気代は31円/kWhにて算出

※公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 電力料金目安単価 31円/kWh [令和4年7月改定] より

このような結果になる理由は、風量「弱」にすると、室内機の中にある冷たくなった

熱交換器を通過する空気の量が減り、部屋の中を涼しくするのに時間がかかるからです。

そのため、風量「自動」に比べて風量「弱」の方が、圧縮機の運転にかかる負荷が増加し、

より多くの電気を使ってしまうことになります。

※圧縮機 室外機にあるエアコンの心臓部ともいえる部品。エアコンの消費電力の約8割は圧縮機で使われる