フロン問題はまだ解決していません
2009年3月、経済産業省発表の危機別のフロンの使用時排出調査によると、業務用冷凍空調機器では、年間、充填量比2~17%のフロンが漏えいにより大気へ排出されています。二酸化炭素(CO2)の数百~4千倍以上の温室効果をもたらす代替フロンの使用時漏えいが今、大きな問題となっています。
2020年には、CO2換算で約4,000万トンのHFC(冷媒フロンの一つ)が冷凍空調機器から排出される恐れがあります。
仮に、家庭用エアコン1台に使用しているフロン(R410A約1㎏)が全量大気に放出された場合のCO2換算値は、Lサイズのレジ袋約14万枚を製造する時に発生するCO2に相当します。
機器の所有者(管理者)は、今後、業務用冷凍空調機器の適正な管理とフロン類の排出抑制に努めなければなりません。
そのため、日常的な簡易点検は、所有者ご自身が行い、定期点検は、専門業者(十分な知見を有する物(冷凍フロン類取扱技術者等))に依頼して実施することが必要となります。
1.冷凍空調機器の簡易点検・定期点検の義務化
- 全ての機器を対象に、日常的に実施する簡易点検の実施
・(3カ月に1回以上) 専門業者がアドバイスをする。 - @下記の機器については、定期点検の義務化(専門家に依頼)
機種 | 圧縮機電動機定格出力 | 定期点検頻度 |
---|---|---|
エアコンディショナー | 7.5kW以上50kW未満 | 3年に1回以上 |
50kW以上 | 1年に1回以上 | |
冷凍・冷蔵機器 | 7.5kW以上 | 1年に1回以上 |
2.漏えいを発見した場合には、速やかな通えい箇所の特定及び修理を実施
- フロン類の漏えいが見つかった際、修理をしないでフロン類を充填することの原則禁止
(繰り返し充填の原則禁止) - 適切な専門業者に修理、フロン類の充填を依頼
3.機器の点検・修理やフロン類の充填・回収等の機器整備に関する履歴の記録・保存義務
- 適切な管理を行うため、機器の整備については、 記録籍に編屋を記録し、
記録簿は機器を廃棄するまで保存しなければならない。 - 適切な専門業者に整備を依頼し、整備の記録を記入。
4.算定漏えい量の報告
1年間にフロン類をCO2換算値で1,000CO2-ton以上漏えいした事業者は国へ報告する義務
毒えい量=充填量*×GwP (CO2換算値) ≧1,000CO2-ton
※充填量=装器の整礎時における (充填量ー回収量)
5.機器を廃棄する際は、フロン類を回収しなければならない
- 第一種フロン類充環回収業者に依頼して、フロン類を回収した後、 機器を廃棄する。
- 回収依頼の際は、行程管理票を交付しなければならない。
5は、法改正前からの義務
- フロンをみだりに放出した場合 (1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
- 上記1~3の「判断の基準」に違反した場合 (50万円以下の罰金)
- 上記5の行程管理票の交付を怠った場合 (50万円以下の罰金)
- 国から求められた「管理の適正化の実施状況報告」の未報告、虚偽報告(20万円以下の罰金)
- 都道府県の立入検査の収去の拒否、妨げ、忌避した場合 (20万円以下の罰金)
- 上記4の算定編えい量の末報告、虚偽報告をした場合(10万円以下の過料)
「冷媒フロン類取扱技術者」等による定期点検・予防保全が有効です
機器トラブル発生後では、フロンがほとんど漏えいしているケースがあり、能力低下・被害の 拡大を防ぐために、管理システム・点検・整備 に精通し、認定を受けたエキスパート (冷媒フ ロン類取扱技術者等) による点検と早期の予防 保全措置の実施が必要です。
冷爆フロン類取扱技術者
- 運転屋歴、点検記録簿の確認
- 闘接法・直接法による点検
- 点検・修理記録簿への記載
- 義器所有者、管理者への報告
※「冷凍フロン類取扱技術者」による定期点検は所有者のご負担となります。